厳しい夏の暑さが続く日本。連日の猛暑に「どこか涼を感じられる場所へ出かけたい」と思っている方も多いのではないでしょうか。そんな方にこの夏ぜひおすすめしたいのが、滋賀県大津市坂本にある名刹「西教寺(さいきょうじ)」で開催される夏の特別イベント、納涼『風鈴参道通り抜け』です。
歴史ある厳かな境内に響き渡る何千もの風鈴の音色、そして目に鮮やかなガラス風鈴と青もみじのコントラストは、まさに日本の夏を象徴する絶景そのもの。視覚と聴覚の両方から、極上の「涼」を届けてくれます。
今回は、滋賀県屈指の夏のフォトスポット・癒やしスポットとして年々注目を集めている西教寺の「風鈴参道通り抜け」について、その魅力や見どころ、美しい写真を撮るためのコツ、そして一緒に楽しみたい歴史探訪まで、余すところなくたっぷりとご紹介します。
西教寺とは?明智光秀ゆかりの歴史ある名刹

風鈴参道の魅力をご紹介する前に、まずは舞台となる「西教寺」について少し触れておきましょう。
滋賀県大津市、比叡山の麓に広がる「坂本(さかもと)」というエリアは、古くから比叡山延暦寺の門前町として栄えてきました。現在も「穴太衆(あのうしゅう)積み」と呼ばれる見事な石垣が町中を彩り、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている風情あふれる町です。
その坂本の高台に位置する西教寺は、天台真盛宗(てんだいしんせいしゅう)の総本山であり、全国に400以上の末寺を持つ非常に格式高いお寺です。創建は聖徳太子と伝えられており、古くから多くの信仰を集めてきました。
そして、西教寺を語る上で欠かせないのが、戦国武将・明智光秀の存在です。織田信長による比叡山焼き討ちの後、坂本城の城主となった光秀は、復興に尽力し、この西教寺の檀徒(だんと)となりました。境内には光秀とその一族のお墓があり、愛妻・煕子(ひろこ)の伝説が残るなど、歴史ファンにとっても非常に重要な聖地となっています。大河ドラマの舞台として脚光を浴びたことも記憶に新しいですね。
そんな歴史と格式を誇る西教寺が、現代の人々に癒やしを提供するために夏の期間に行っているのが、今回ご紹介する「風鈴参道通り抜け」なのです。
西教寺の納涼『風鈴参道通り抜け』とは?

納涼『風鈴参道通り抜け』は、夏の厳しい暑さを少しでも和らげ、参拝者に涼やかな気持ちで祈りを楽しんでほしいという思いから始まった西教寺の夏の風物詩です。
例年、梅雨明けから9月の初旬頃までの長期間にわたって開催され、総門から本堂へと続く長い参道に、数千個規模の色鮮やかなガラス風鈴が吊るされます。さらに、風鈴と共にたくさんの「風車(かざぐるま)」も飾られ、風が吹くたびに一斉に回る姿はどこか懐かしく、そして息を呑むほどの美しさです。2026年度は6月20日(土)から9月23日(水・祝)に開催されます。
お寺の参道という神聖な空間に、これほどまでの数の風鈴が並ぶ光景は圧巻の一言。風鈴には一つ一つに願い事が書かれた短冊が揺れており、人々の祈りが風に乗って天へと届けられているような、そんな神秘的な雰囲気さえ漂います。
近年ではSNSを中心に「滋賀の絶景フォトスポット」として話題が沸騰しており、県内外から多くの観光客やカメラマン、浴衣姿のカップルなどが訪れる人気イベントに成長しました。
絶対に見逃せない!風鈴参道通り抜け「3つの見どころ」
西教寺の風鈴参道には、訪れた人の心をつかんで離さない数多くの魅力があります。ここでは、特に注目していただきたい「3つの見どころ」をピックアップして解説します。
1. 圧巻のスケール!色鮮やかなガラス風鈴と青もみじの競演

最大の魅力は、なんといってもそのスケール感と色彩の美しさです。参道の上を覆い尽くすように飾られた何千個もの風鈴は、赤、青、黄、緑など、色とりどりのガラスで作られています。透明感のあるガラスの風鈴は、夏の強い日差しを透過してキラキラと輝き、まるで宝石のようです。
そして、その風鈴の背景となるのが、西教寺の豊かな自然、特に「青もみじ」です。秋には紅葉の名所として知られる西教寺ですが、夏の間は生命力あふれる瑞々しい緑色の葉を広げています。透き通るガラス風鈴の色彩と、目に優しい鮮やかな青もみじのコントラストは、この季節、ここでしか見ることのできない極上の風景です。
一陣の風が吹き抜けると、数千の風鈴が「チリン、チリン」と一斉に鳴り響きます。その涼やかな大合唱は、耳から全身の熱をスッと引かせてくれるような不思議な癒やし効果があります。
2. 昼とは違う幻想的な世界へ。夜間ライトアップの魅力
風鈴参道通り抜けは、明るい昼間だけのイベントではありません。特定の期間や週末には、夜間ライトアップが実施されることがあります(※年によって開催状況が変わるため、事前に公式ホームページでの確認を推奨します)。
2026年度の夜間開催日程は7月25日から9月6日 月・火曜日拝観停止。但し、8月10・11日は開催。19:00~21:30(拝観受付は21:00まで)
夜の境内は、昼間の爽やかな雰囲気から一変し、息を呑むほど幻想的な空間へと姿を変えます。暗闇の中に浮かび上がる色鮮やかな風鈴、ほのかに照らし出される青もみじ、そして足元を優しく導く行灯(あんどん)の灯り。視覚情報が制限される夜だからこそ、風鈴の澄んだ音色がより一層際立ち、心に深く響き渡ります。
夏の夜のデートコースとしても非常にロマンチックで、昼間の暑さを避けてゆっくりと参拝したい方にも夜間拝観は大変おすすめです。
3. 夏限定の御朱印と明智光秀ゆかりの地を巡る
お寺を訪れる際の楽しみの一つが「御朱印」という方も多いでしょう。西教寺では、風鈴参道の期間に合わせて、夏らしい涼やかなデザインが施された「限定御朱印」が授与されることがあります。風鈴や青もみじが描かれた美しい御朱印は、夏の参拝の素晴らしい記念になるはずです。
そして、風鈴を満喫した後は、ぜひ境内をゆっくりと散策してみてください。本堂(重要文化財)の荘厳な佇まいに圧倒されるのはもちろん、明智光秀の一族の墓前に手を合わせ、激動の戦国時代に思いを馳せるのも有意義な時間です。小堀遠州(こぼりえんしゅう)の作と伝えられる見事な庭園もあり、縁側に座って静かにお庭を眺めていると、日常の喧騒を完全に忘れることができます。
SNS映え間違いなし!美しい写真を撮るためのコツ

これだけ美しい景色が広がっていると、やはり素敵な写真を残したくなりますよね。西教寺の風鈴参道で「映える」写真を撮るための、いくつかのテクニックをご紹介します。
- 下から見上げるアングルを狙う 風鈴は頭上に飾られているため、カメラやスマートフォンを少し低く構え、下から空を見上げるように撮影するのが基本です。青空と青もみじ、そしてカラフルな風鈴が画面いっぱいに広がるダイナミックな構図になります。
- 「ポートレートモード」で玉ボケを作る スマートフォンのポートレートモード(背景ぼかし機能)や、一眼レフの単焦点レンズを活用しましょう。手前の一つの風鈴にピントを合わせ、奥にある無数の風鈴をぼかすことで、キラキラとした「玉ボケ」ができ、プロのような雰囲気のある一枚に仕上がります。
- 風が吹く瞬間を「動画」で収める 写真だけでなく、ぜひ動画の撮影もおすすめです。風鈴の魅力はなんといっても「音」。風車がクルクルと回り、風鈴が一斉に鳴り響く瞬間の動画は、後で見返したときにもその場の涼しさを鮮明に思い出させてくれます。
- 浴衣を着て訪れる 和の風情あふれる風鈴参道には、やはり「浴衣」が最高に似合います。後ろ姿を撮影するだけでも、雑誌の表紙のようなノスタルジックで美しい写真になります。パートナーや友人と浴衣で揃えて訪れれば、夏の最高の思い出になること間違いなしです。
※撮影の際の注意点として、他の中の参拝者の迷惑にならないよう、三脚の長時間の使用や通路を塞ぐような撮影は控え、マナーを守って楽しみましょう。
西教寺へのアクセスと周辺観光・拝観情報
最後に、西教寺へのアクセス方法と、合わせて立ち寄りたい周辺スポットの情報をまとめます。
【西教寺の基本情報】
- 住所: 滋賀県大津市坂本5丁目13-1
- 拝観時間: 通常 9:00~17:00(入場は16:30まで) ※ライトアップ開催時などは変更になる場合があります。
- 拝観料: 大人500円、中学生300円、小学生200円(※料金は改定される場合があるため最新情報をご確認ください)
【アクセス方法】
- 公共交通機関をご利用の場合:
- 京阪電車 石山坂本線「坂本比叡山口駅」から徒歩約25分、または江若バスに乗車し「西教寺」バス停下車すぐ。
- JR湖西線「比叡山坂本駅」から徒歩約30分、または江若バスに乗車し「西教寺」バス停下車すぐ。 ※歩くことも可能ですが、夏の暑い時期は坂道でもあるため、駅からバスやタクシーを利用することをおすすめします。
- お車をご利用の場合:
- 名神高速道路「京都東IC」から西大津バイパス(国道161号線)を経由し、下阪本ランプから約10分。
- 無料の大型駐車場が完備されていますが、風鈴まつりのピーク時やお盆、ライトアップ期間などは混雑することがあります。
【周辺のおすすめスポット】 西教寺のある坂本エリアは、一日かけてゆっくりと散策できる魅力的な町です。西教寺の参拝前後には、全国の日吉・日枝・山王神社の総本宮である「日吉大社(ひよしたいしゃ)」への参拝もおすすめです。日吉大社も広大な森に包まれており、夏でもひんやりとした空気が漂うパワースポットです。 また、日本一の長さを誇る「坂本ケーブル」に乗って、世界文化遺産・比叡山延暦寺へ足を延ばすのも王道の観光ルート。少し足を延ばせば、琵琶湖の美しい景色を望むカフェなども点在しています。
おわりに:今年の夏は滋賀・大津で最高の「涼」を
いかがでしたでしょうか。滋賀県大津市・西教寺の納涼『風鈴参道通り抜け』は、ただ美しい景色を見るだけでなく、風の音、木々の香り、そして歴史の深さを全身で感じることができる、非常に特別で贅沢な空間です。
冷房の効いた室内で過ごす夏も快適ですが、たまにはこうして外に出て、日本古来の「五感で涼をとる」という文化に触れてみるのも素晴らしい体験になるはずです。
何千もの風鈴が奏でる涼やかな音色のシャワーを浴びに、そして色鮮やかな絶景に出会いに。今年の夏はぜひ、カメラを持って、あるいは浴衣を身にまとって、西教寺の風鈴参道へお出かけしてみてください。きっと、心に深く刻まれる素敵な夏の思い出ができることでしょう。




