皇子山総合運動公園内の広場・テニスコート撤去工事始まる 大津市役所の「建て替え」がいよいよ現実に

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大津市市役所新庁舎建設に伴い、皇子山総合運動公園内の広場・テニスコートの撤去工事が始まりました。

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大津市役所の「建て替え」がいよいよ現実に

滋賀県の県庁所在地、大津市。琵琶湖のほとりに広がるこの都市では今、市民生活に直結する大きなプロジェクトが動き出しています。それが「大津市役所新庁舎の建設計画」です。

長年にわたり市民の行政サービスの拠点として機能してきた現在の大津市庁舎ですが、耐震性能の不足や建物の老朽化など、看過できない問題が山積しています。こうした課題を解決するため、大津市はついに新庁舎の建設に向けた本格的な計画を策定しました。

本記事では、大津市役所新庁舎建設計画の背景・現状の課題・建設候補地・スケジュール・事業費・目指す庁舎像まで、最新情報をもとにわかりやすく解説します。大津市にお住まいの方はもちろん、公共施設整備や行政まちづくりに関心のある方にもぜひお読みいただきたい内容です。

現在の大津市庁舎が抱える深刻な課題

老朽化した4棟構成の庁舎

現在の大津市庁舎は、本館・別館・新館・第2別館という4棟で構成されています。最も古い本館は1967年(昭和42年)に完成したSRC造地下1階・地上5階建て(延べ1万5,160㎡)の建物であり、すでに60年近い歴史を持ちます。別館は1971年(昭和46年)完成(延べ6,251㎡)、新館は1989年(平成元年)完成(延べ1万948㎡)、第2別館は1993年(平成5年)完成(延べ1,273㎡)となっており、施設の新旧が混在した状態です。

これだけの年数が経過すれば、建物の老朽化は避けられません。大津市では、現庁舎の主な課題として以下の4点を挙げています。

課題①:耐震性能の深刻な不足

最も緊急性の高い問題が、本館と別館の耐震性能不足です。大規模な地震が発生した場合、建物が大きな被害を受ける恐れがあり、来庁する市民や職員の安全を確保できないだけでなく、初動対応やその後の復旧・復興にも大きな支障が生じかねません。市役所は災害時の防災拠点となる施設であるだけに、この問題の深刻さは言うまでもないでしょう。

課題②:建物の経年劣化と設備の老朽化

建物自体の経年劣化も著しく進んでいます。給排水・電気・空調などの各種設備についても老朽化が進行しており、維持管理コストの増大や突発的な設備故障のリスクが高まっています。これらは市民へのサービス提供の安定性にも影響を与えます。

課題③:スペースの狭隘化

行政需要の多様化や職員数の増加に伴い、現庁舎では執務スペースが慢性的に不足しています。部署ごとに分散した配置や、手狭な来庁者スペースは、市民にとっても職員にとっても使い勝手の悪さにつながっています。

課題④:バリアフリー対応の不十分さ

現庁舎はバリアフリーへの対応が十分ではなく、高齢者や障がいのある方が安心して利用できる環境とは言い難い状況です。少子高齢化が進む現代社会において、誰もが使いやすい行政施設の整備は急務となっています。

庁舎整備に向けたこれまでの歩み

大津市は、こうした課題の解決に向けて段階的に取り組みを進めてきました。

令和4年(2022年)12月には、まず「大津市庁舎整備基本構想」を策定し、庁舎整備の方向性を示しました。この基本構想の策定は佐藤総合計画が担当しており、「基本・実施設計に3カ年、工事に3年以上を要する」とのスケジュール感が示されました。

その後、庁舎整備基本計画に向けた詳細な調査や、市民ワークショップを実施するなど、幅広い視点からの検討が重ねられました。市民ワークショップでは、窓口のワンストップ化やバリアフリー化、雨に濡れずにアクセスできる動線、コンシェルジュ機能など、市民が庁舎に求めるニーズが丁寧に集められました。

令和6年(2024年)度には基本計画の作成に着手し、日建設計大阪オフィスを基本計画策定支援業務の委託先として選定。パブリックコメントを経て、令和7年(2025年)度に「大津市庁舎整備基本計画」として正式に策定されました。

新庁舎の建設候補地:皇子山総合運動公園(御陵町)

なぜ皇子山総合運動公園なのか

新庁舎の建設候補地として選定されたのは、御陵町に位置する「皇子山総合運動公園」の一部です。現庁舎の敷地ではなく、公園用地への移転という形を取ることには、明確な理由があります。

皇子山総合運動公園は、スポーツ施設を中心としながら、琵琶湖を活かした文化活動やインバウンド観光など、多くの人が交流できる広い空間を持っています。庁舎をこの公園と一体的に整備することで、「交流の創出などによるまちづくりの効果」と「防災拠点としての防災力の向上」を同時に実現できると判断されました。

また、周辺に空地を確保できることから、大規模災害時の防災拠点としての機能も充実させることができます。新庁舎と既存の新館を連携させながら、段階的な整備が可能な点も選定の理由の一つです。

アクセス面での利便性向上も検討

市民ワークショップでは、アクセスのしやすさも重要な課題として挙げられました。京阪大津市役所前駅やJR大津京駅、浜大津や皇子山エリア等からのアクセスを向上させる整備が必要との意見があり、JR大津京駅からのアプローチ動線やプロムナード、エントランス機能を考慮した計画が進められています。また、来庁者のための広くて使いやすい駐車場の整備も求められています。

代替公園の整備も並行して検討

都市公園である皇子山総合運動公園の一部に庁舎を建設するにあたっては、別所合同宿舎用地(国有地)に代替公園を整備する方向で検討が進んでいます。これにより、公園としての機能や回遊性を損なわないよう配慮しながら、庁舎整備による交流創出効果を最大限に引き出すことを目指しています。

新庁舎の規模と概算事業費

6階建て・延べ約2万5,000〜2万7,000㎡の計画

基本計画(素案)によると、新庁舎の想定規模は6階建て、延べ約2万5,000平方メートルから2万7,000平方メートルとされています。市民向けのホールやカフェなども設置される予定で、行政サービス機能だけでなく、市民が気軽に立ち寄れる開かれた庁舎が目指されています。

概算事業費は242〜287億円

事業費については、概算で242億円から287億円が見込まれています。当初の基本構想段階では166億〜197億5,000万円という試算でしたが、詳細な検討を重ねた結果、最新の素案では242〜287億円という数字が示されました。

大規模な公共事業として財源の確保や費用対効果の検証が求められることはいうまでもありませんが、老朽化した庁舎を放置し続けることのリスクや、将来にわたる維持管理コストの増大を考えれば、早期の建て替えは市にとっても市民にとっても合理的な選択といえます。

事業手法は「従来方式」を採用

事業の実施手法については、PFI(民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律に基づく手法)などの官民連携方式ではなく、従来の公共発注方式が採用される見通しです。設計者の選定には、提案競技であるプロポーザル方式が採用されます。

今後のスケジュールと供用開始の見通し

2025年度から基本設計に着手

基本計画の策定を受けて、令和7年(2025年)度からいよいよ基本設計に着手する予定です。設計段階では、建物の構造・レイアウト・外観デザインなど、新庁舎の具体的な姿が固められていきます。

2029年度に施工者を選定

基本設計・実施設計を経て、令和11年(2029年)度には施工者が選定される予定です。大規模な公共建築物の建設には、設計から施工まで長い準備期間が必要であることがわかります。

2032〜33年度に供用開始予定

市民が新しい庁舎を利用できるようになるのは、令和14〜15年(2032〜2033年)度を目標としています。現在から約7〜8年後のことであり、計画どおり進めば、大津市の新たなシンボルとなる庁舎が琵琶湖のほとりに誕生することになります。

新庁舎が目指す姿:市民に開かれた「交流と防災の拠点」

ワンストップサービスで市民の利便性を向上

新庁舎の設計にあたっては、市民の声が随所に反映されています。これまでバラバラだった窓口機能をワンストップ化し、一度の来庁でさまざまな手続きを完結できる環境が整えられる予定です。子育て世帯や高齢者、障がいのある方など、あらゆる市民が使いやすい施設を目指しています。

防災拠点としての機能強化

大規模地震や自然災害が発生した際、市役所は行政の司令塔として迅速に機能しなければなりません。新庁舎では、最新の耐震・免震技術を採用し、周辺の空地も活用した防災拠点としての機能を大幅に強化する方針です。「フェーズフリー」の考え方(日常時・非常時を問わず使いやすい空間の確保)も取り入れた設計が検討されています。

まちづくりの核として交流を生み出す

皇子山総合運動公園と一体となった新庁舎は、単なる行政施設にとどまらず、市民が集い、交流するまちづくりの核としての役割も担います。市民向けのホールやカフェなどの機能を設けることで、用事がなくても立ち寄りたくなるような、開かれた公共空間が実現することが期待されています。

バリアフリー・ユニバーサルデザインの徹底

誰もが安心して利用できる施設を実現するため、バリアフリーやユニバーサルデザインを徹底的に取り入れた設計が求められています。エレベーターや多目的トイレの充実、雨に濡れずにアクセスできる動線の確保など、市民目線での使いやすさが追求されます。

デジタル化との連携

大津市ではDX(デジタルトランスフォーメーション)戦略も並行して進めており、新庁舎の整備に合わせてオンライン手続きのさらなる拡充が図られます。デジタルとリアルを融合させた次世代の市民サービスの実現を目指しており、公文書のデジタル化や文書削減による効率的な行政運営も視野に入れています。

市民の声と今後の課題

パブリックコメントで示された多様な意見

庁舎整備基本計画の策定にあたっては、市民ワークショップやパブリックコメントを通じて、幅広い意見が寄せられました。皇子山総合運動公園への移転については「公園と庁舎の一体性を重視した整備を」という賛成意見がある一方、「JR大津駅周辺など他の候補地も検討すべき」「移転の必然性が見出せない」といった批判的な意見も寄せられています。

こうした多様な意見を踏まえつつ、市としては市民にとって最善の庁舎整備を実現するため、引き続き丁寧な情報公開と対話を続けていくことが求められます。

費用負担と財源確保

240億円を超える概算事業費をどのように調達するかは、大津市の財政運営にとっても大きな課題です。国の補助金や地方債の活用、現庁舎跡地の売却・活用など、複数の財源確保策を組み合わせながら、市民負担を最小化する工夫が必要です。

まとめ

大津市役所の新庁舎建設計画は、単なる建物の老朽化対策にとどまらず、大津市の未来のまちづくりを左右する重要なプロジェクトです。耐震性能の不足という喫緊の課題を解決しつつ、市民が使いやすく、防災拠点としても機能し、まちに交流を生み出す庁舎を実現するための取り組みが着実に進んでいます。

2025年度から基本設計がスタートし、2032〜33年度の供用開始を目指す今後のスケジュールに、大津市民の注目が集まっています。計画の進捗や市民参加の機会についての最新情報は、大津市の公式ホームページや広報おおつWEBにて随時公開されていますので、ぜひご確認ください。

大津市の新たなシンボルとなる新庁舎が、市民にとって本当に使いやすく、誇れる施設として生まれ変わることを期待したいと思います。

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