唐院探題灯篭を出て観音堂までの道を進みました。
十一面観音を祀る微妙寺
途中、道は左に大きく曲がるのですが、その突き当りに微妙寺があります。三井寺の境内にありますが、別所寺院だそうです。堂内に入って自由に参拝できるので、靴を脱いで堂内に上がらせてもらい、参拝させていただきました。
微妙寺の本尊は十一面観音。頭部に十一の顔を持った観音様で、現世での10種類のご利益(十種勝利)と来世での4種類の果報(四種功徳)をもたらすと言われています。
十種勝利の具体的ご利益は
- 離諸疾病(病気にかからない)
- 一切如來攝受(一切の如来に受け入れられる)
- 任運獲得金銀財寶諸穀麥等(金銀財宝や食物などに不自由しない)
- 一切怨敵不能沮壞(一切の怨敵から害を受けない)
- 國王王子在於王宮先言慰問(国王や王子が王宮で慰労してくれる)
- 不被毒藥蠱毒。寒熱等病皆不著身(毒薬や虫の毒に当たらず、悪寒や発熱等の病状がひどく出ない。)
- 一切刀杖所不能害(一切の凶器によって害を受けない)
- 水不能溺(溺死しない)
- 火不能燒(焼死しない)
- 不非命中夭(不慮の事故で死なない)
四種功徳とは
- 臨命終時得見如來(臨終の際に如来とまみえる)
- 不生於惡趣(悪趣、すなわち地獄・餓鬼・畜生に生まれ変わらない)
- 不非命終(早死にしない)
- 從此世界得生極樂國土(今生のあとに極楽浄土に生まれ変わる)
生きていればいろいろ災難に会うことがあるけれど、それらすべてから守ってくださり、死ぬ間際や死んでからも良き来世へ導いてくださるということです。
真言は「オン ロケイジンバラ キリク」
道の脇に佇む衆宝観音像
観音堂までの道すがら、一際美しい観音像が鎮座されています。衆宝観音像です。
像の案内版によれば、
三十三観音の一つ。衆宝とは衆生が求めてやまない財宝のことで、右手を岩に置き左手を立て膝の上に置く特異な観音様です。三個の蓮華のうち未開の蓮華は未だこの世に姿を現さない我々の状態を、半開の蓮華は現世に生きる私達を、全開の蓮華は完成された人格が表現されています。
この観音様を信仰すれば財宝が貯まり、福徳を授けられ、出世が叶うといわれる有難い観音様です。
衆宝観音は人間の願望のうちの財宝や出世をもたらしてくださる現役世代には有難い観音様ですね。
像にはたくさんの腕輪念珠が奉納されていましたが、どういう意味で奉納されていたのか。お参りして祈願が通じたお礼なのか?
山の中腹にある観音堂
道が突き当たり、そこから右手の石段を上ると、観音堂の境内に出ます。
山の中腹あたりに位置しているため、境内から大津市街が見渡せます。晴天の日は青く輝く琵琶湖が眺められます。
西国三十三箇所観音霊場の第十四番礼所
この観音堂は西国三十三箇所観音霊場の第十四番礼所として親しまれています。本尊は如意輪観音(にょいりんかんのん)。
如意輪観音とは仏像ワールドの解説によると、
「如意」とは意のままに智慧や財宝、福徳もたらす如意宝珠という宝の珠のことで、「輪」は煩悩を打ち砕く法輪を指しています。その2つを手に持った観音菩薩ということで如意輪観音といいます。六観音の1つに数えられ、天界道に迷う人々を救うとされますが、6本の手で六道すべてに救いの手を差し伸べるともいわれています。
https://www.butuzou-world.com/dictionary/bosatsu/nyoirinkannon/
ご利益は知恵、財福、福徳授与、安産、延命。
真言は「オン・ハンドマ・シンダマニ・ジンバラ・ウン」
我が家は毎年始にここに参って、おみくじを引くことにしています。おみくじは100円で、真鍮の小さな七福神が付いています。
今年の年始には参れなかったので、遅まきながら本日おみくじを引かせていただきました。
結果は「大吉」でした!ありがとうございます。今年に入って、あまり良いことがなかったので、とても勇気付けられました。
祈願付き線香を奉納
金堂と同じ祈願付き線香が奉納できるので、「心願成就」の線香を奉納させていただきました。1本100円です。
金堂でも「心願成就」、ここも観音堂でも「心願成就」、他にも「先祖代々」「家内安全」「身体健全」「病気平癒」の線香があるのに、なんで「心願成就」かというと心願=家庭、健康も含めたすべての願望を叶えてくれそうだから。僕の欲望にはキリがない。
百体の観音様を祀る百体堂
観音堂の北東側に百体堂があります。
三井寺公式サイトの解説によれば、堂内の正面中央に三井寺観音堂(正法寺)本尊と同じ如意輪観音像を奉安し、 その左右に西国礼所の三十三観音像を二段に祀り、 右には坂東三十三箇所、左には秩父三十四箇所の本尊を安置、 合わせて百体の観音像を安置することから百体堂と呼ぶそうです。
衆生を救うために変化(へんげ)する観音様
今回、十一面観音、衆宝観音、如意輪観音と三つの観音様を紹介しましたが、これを機に観音菩薩について少し調べてみました。
観音菩薩はあまねく衆生を救うために相手に応じて様々な形に変わること(普門示現という)から、六観音、七観音、十五尊観音、三十三観音に派生しています。そのすべてを列記すると以下のようになります。
六観音
聖観音、十一面観音、千手観音、馬頭観音、如意輪観音、准胝観音
七観音
上記の六観音に不空羂索観音を加える。
十五尊観音
白衣、葉衣、水月、楊柳、阿摩提、多羅、青頸、琉璃、龍頭、持経、円光、遊戯、蓮臥、瀧見、施薬
三十三観音
1.楊柳(ようりゅう)2.龍頭(りゅうず)3.持経(じきょう)4.円光(えんこう)5.遊戯(ゆげ)6.白衣(びゃくえ)7.蓮臥(れんが)8.滝見(たきみ)9.施薬(せやく)10.魚籃(ぎょらん)11.徳王(とくおう)12.水月(すいげつ)13.一葉(いちよう)14.青頚(しょうけい)15.威徳(いとく)16.延命(えんめい)17.衆宝(しゅうほう)18.岩戸(いわと)19.能静(のうじょう)20.阿耨(あのく)21.阿摩提(あまだい)22.葉衣(ようえ)23.瑠璃(るり)24.多羅尊(たらそん)25.蛤蜊(こうり、はまぐり)26.六時(ろくじ)27.普悲(ふひ)28.馬郎婦(めろうふ)29.合掌(がっしょう)30.一如(いちにょ)31.不二(ふに)32.持蓮(じれん)33.灑水(しゃすい)
観音菩薩の御利益
上記に書いたように観音菩薩はすべての苦しみから、様々な姿に変化して救いを差し伸べてくださいます。
観音菩薩の経典に「観音経」がありますが、その教えの根本は
「心から観世音菩薩をたたえれば、必ず救われる」
ということです。
人間には様々な煩悩があり、その煩悩から発生する不安や恐れは数えきれないほどあります。
「南無観世音菩薩(なむかんぜおんぼさつ)」と唱えることで不安や恐れから解き放たれるのです。
実は僕も還暦前に老後について急に不安に襲われ、眠れない日が続いたあるとき、観音菩薩の存在を知り、毎朝「南無観世音菩薩(なむかんぜおんぼさつ)」と21回唱えるようにしました。
すると数か月経ったくらいから、物事を前向きに考えることができるようになり、以来実態のない不安から解放されました。