滋賀県と聞いて、多くの人が真っ先に思い浮かべるのは「琵琶湖」でしょう。しかし、滋賀の魅力は水面の下にも、そして湖の向こう側にも、驚くほどたくさんの「日本一」が隠されています。
「滋賀県には琵琶湖しかない」
もしあなたの周りにそんなことを言う人がいたら、そっとこの記事を差し出してください。
確かに、滋賀県の面積の約6分の1を占める琵琶湖は圧倒的な存在感です。しかし、統計データを紐解いていくと、滋賀県は「健康」「産業」「文化」といったあらゆる分野で、日本トップ、あるいは世界レベルの記録を叩き出している「隠れた超エリート県」であることがわかります。
今回は、滋賀県が誇る数々の「日本一」をジャンル別に紹介していきます。
【自然・地理】圧倒的なスケールの「母なる湖」
まずは基本中の基本、自然界の王者から見ていきましょう。
■ 日本最大の湖「琵琶湖」
これは説明不要かもしれませんが、数値で見るとその凄さが際立ちます。
- 面積: 約670km2(滋賀県の面積の約1/6)
- 貯水量: 約275億トン
- 歴史: 約400万年(世界でも数少ない「古代湖」の一つ)
琵琶湖はただ大きいだけでなく、約1,000種類もの動植物が生息し、うち60種類以上がここでしか見られない固有種です。近畿1,450万人の飲み水を支える「近畿の水がめ」としての役割も、文句なしの日本一です。
■ 世界記録を持つ「伊吹山の積雪量」
滋賀県北部に位置する伊吹山は、実は「世界一の積雪量」の記録を持っています。 1927年2月14日、伊吹山山頂で観測された積雪量は1,182cm(11.82メートル)。これは現在でも、山岳における積雪量の世界記録としてギネスにも載るほどの数字です。滋賀の冬の本気は世界レベルなのです。
【健康・長寿】男性の平均寿命が日本一!
今、全国の自治体が最も注目しているのが滋賀県の「健康寿命」です。

■ 男性平均寿命:日本第1位
厚生労働省の「都道府県別生命表」によると、滋賀県の男性の平均寿命は82.73歳(最新データ参照)で、長らく1位だった長野県を抜いて日本一に輝きました。ちなみに女性も全国トップクラス(2位前後)を維持しています。
なぜ滋賀県民は長生きなのか?
その理由は、県が分析した「滋賀の長寿の要因」に隠されています。
- 喫煙率の低さ: 男性は全国でもトップレベルにタバコを吸わない。
- 多量飲酒の少なさ: お酒もほどほど。
- 食生活の改善: 伝統的な「近江の食事」は野菜が多く、塩分を控える意識が高い。
- 社会参加: 高齢者の就業率やボランティア参加率が高く、孤立しにくい。
琵琶湖の周りを散歩したり、自転車で走る(ビワイチ)習慣も、知らず知らずのうちに県民の健康を支えているのかもしれません。
滋賀県の男性が「日本一の長寿」になった理由は、単なる偶然や遺伝ではありません。40年前、滋賀県の寿命は全国平均以下でした。そこから這い上がり、トップに君臨し続けている背景には、「データに基づいた地道な改善」と「近江商人ゆかりの社会性」があります。
滋賀県民が誇る「健康の秘訣」を4つのポイントで深掘りします。
驚異の「脱・不健康」習慣(タバコと塩)
滋賀県の健康を支える最大の要因は、悪い習慣の徹底的な排除にあります。
- タバコを吸う男性が日本一少ない:統計的に、滋賀県の男性喫煙率は全国で最も低いレベルを維持しています。肺がんなどの死亡率が低い大きな要因です。
- 塩分摂取の低さ:かつての長寿日本一・長野県は「減塩運動」で寿命を伸ばしましたが、滋賀県も同様に減塩意識が非常に高いです。
- 多量飲酒をしない:お酒を嗜む程度に抑える人の割合が多く、肝疾患などのリスクが抑えられています。
「孤独」を防ぐ社会ネットワーク
実は、医学的な要因と同じくらい重要視されているのが**「社会との繋がり」**です。
- ボランティア参加率:全国トップクラス滋賀県の男性は、定年後も地域活動やボランティアに参加する割合が非常に高いです。社会に役割があることで、認知症予防や精神的な活力に繋がっています。
- 高齢者の独居率が低い:3世代同居や、近隣との助け合いが残っており、「孤立」が少ないことが長生きに寄与していると分析されています。
- 生涯学習の意欲:公民館活動などが活発で、新しいことを学ぶ意欲(自己啓発)が強いのも特徴です。
「ビワイチ」に象徴される運動習慣
滋賀県民には「体を動かす環境」が整っています。
- スポーツ実施率(男性):全国2位琵琶湖を一周する「ビワイチ」だけでなく、湖畔のウォーキングコースやサイクリングロードが整備されています。
- 「歩く」環境の充実:坂道が比較的少なく、平坦な道が多いため、高齢になっても散歩を続けやすい地理的メリットがあります。
安定した経済基盤と「三方よし」の精神
経済的なゆとりと心の安定も、健康には欠かせません。
- 実はお金持ちな県:滋賀県は「製造業の県」であり、県民所得は全国トップレベル。失業率も低く、所得格差(ジニ係数)が小さいのが特徴です。経済的な安定が、質の高い医療や食事へのアクセスを可能にしています。
- 三方よしの精神:「自分だけでなく、相手も、世間もよくする」という近江商人の精神が、地域の福祉や教育の充実(世間よし)に反映されており、ストレスの少ない住みやすい環境を作っています。
滋賀の長寿を支えるデータまとめ
| 項目 | 滋賀県の順位(男性) |
| 平均寿命 | 第1位 |
| 喫煙率の低さ | 第1位 |
| ボランティア参加率 | 第2位 |
| スポーツ実施率 | 第2位 |
| 脳血管疾患の死亡率の低さ | 第1位 |
豆知識:「シガリズム」
滋賀県はいま、この健康長寿の秘訣を「シガリズム」という言葉でブランド化しています。琵琶湖のゆったりとしたリズムに合わせて、食事、運動、休息を整える。この「無理をしないけれど、社会とは繋がる」というスタイルが、究極の健康法なのかもしれません。
【経済・産業】実は「製造業」の王国
「滋賀県は観光と農業の県」というイメージを持っているなら、それは大きな誤解です。実は滋賀県は、日本屈指の工業県なのです。
■ 県内総生産に占める製造業の割合:日本第1位
滋賀県の経済を支えているのは「ものづくり」です。製造業が占める割合は約44.4%(令和4年度統計など)に達し、全国平均の約2倍という驚異的な数字で日本一です。
■ シェア日本一の製品たち
身近な製品でも、滋賀県で作られている「日本一」がたくさんあります。
- 医薬品(製剤)の出荷額: 滋賀は薬の産地としても有名で、配置薬の歴史も深いです。
- 繊維製品: 不織布やプレスフェルトなど、特殊な繊維技術でトップを走っています。
- 信楽焼: 狸の置物でおなじみの信楽焼。庭園用陶器などのシェアは圧倒的です。
- 電気理容器具: パナソニックをはじめとする大手メーカーの巨大工場が集積しており、シェーバーなどの生産も盛んです。
滋賀県民の平均年収が全国平均より高く、生活満足度が高い理由の一つは、この強固な産業基盤にあると言えるでしょう。
【歴史・文化】「寺院密度」は京都を凌ぐ!?
「お寺といえば京都か奈良でしょ?」と思われがちですが、実は滋賀県こそが仏教文化の真の宝庫です。
■ 人口10万人あたりの寺院数:日本第1位
総数では愛知県などが上位に来ますが、人口比で見ると滋賀県がダントツの日本一です。街を歩けば、どこにでも歴史あるお寺が見つかるのが滋賀の日常。
■ 国宝・重要文化財の数:全国第4位(彫像・仏像は3位)
京都、奈良に次いで、国宝や重要文化財の指定件数が非常に多いのが特徴です。特に、比叡山延暦寺や彦根城といった世界遺産・国宝だけでなく、地域の小さなお堂に平安時代の仏像がさらっと安置されているのが滋賀の恐ろしさです。
【暮らし・インフラ】マニアックな日本一の数々
最後に、ちょっと意外な、あるいは自慢したくなる「日本一」をまとめてご紹介します。
■ 坂本ケーブル:日本最長のケーブルカー
比叡山へと続く「坂本ケーブル」は、全長2,025メートルで日本最長です。車窓から見える琵琶湖の絶景は、まさに日本一の長さにふさわしい美しさです。
■ びわこ花噴水:世界最大級の長さ
大津港の沖合にある「びわこ花噴水」は、横の長さが約440メートル。噴水としての長さは世界最大級、日本一を誇ります。夜のライトアップは幻想的で、デートスポットとしても最強です。
■ 平和堂の密度(体感):日本一
統計的な数字以上に、滋賀県民の心に刻まれているのがスーパー「平和堂」です。滋賀県内の店舗網の濃さは他県を寄せ付けません。滋賀県民は「ハトのマーク」を見ると実家のような安心感を覚えます。
結びに:滋賀県の「三方よし」の精神
いかがでしたでしょうか。
琵琶湖という自然の恵みを活かしつつ、健康を維持し、産業を発展させ、古い文化を大切に守り続ける。滋賀県がこれほど多くの「日本一」を抱えている背景には、近江商人が唱えた「三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)」の精神が今も息づいているからかもしれません。
派手さはないけれど、データを見ると最強。
そんな「実力主義」な滋賀県に、ぜひ一度足を運んでみてください。琵琶湖を眺めるだけではもったいない、ディープな日本一があなたを待っています。



